ポテト一本
庭でポテトを食べていた。
ムシャムシャと食べていたら、指からするりとポテトが一本落ちてしまった。
手に取り、食べようと思ったが、やめて放り投げた。
(天からの恵みだ……。)
ムシャムシャ食べた。無心で食べた。
買っていた、ソースをつけて食べていた。
ふと、投げたポテトに目を移すとアリが群がっていた。どこにいたのか不思議に思うほど、ポテト中に張り付いて動いていた。小さい体が右往左往歩き回り、次々とアリが列をなしてポテトに向かった。
自分にとっては、小さい一本でもアリにとっては恵みになるのだろう。
せっせと巣に持ち帰る姿を想像した。
生物にとって、食べ物は欠かせない。
なんとか財布から捻出して、買ったポテトだったが、無事食い繋いだ。
双方、今日の食べ物は手に入れた。
なんだか、いい気分なのかわからないがホッとした。
ついで、明日の不安が風と共によぎっていた。