女郎クモ
立派な蜘蛛の巣があり、これまた丸々とした女郎クモがいた。
これは、タバコを吸おうと家の軒下に行った時のことで、前に来た時はいなかったと思うのだが、いつのまにか巣を作り陣取っていた。
目の前で見ると実に見事で、美しく感じた。
8本の腕が対称的に伸びて腹に黄色と黒色の縞模様がある。
人差し指でちょんと触れてみると巣の向こうへと逃げていった。
ーー
8月の初旬、タバコを吸う。前に見た女郎クモは巣の中央にどっしりと構え、巣の至る所に虫がついており、トンボまでくっついていた。
これは人間と同じなんだなと思ってしまった。
魅力あるものには群がるのかもしれない。
艶やかさには魅力がつきもので招かれるといっそのこと向かいたい気持ちになり罠にハマる。
立ち上がり引っかかりそうになる。
危なかった。
ーー
8月の中旬、タバコに向かうといなくなっていた。
どこにいったんだろうと探し、下を向くと落っこちていて、死んでいた。
アリが群がり、腹から体液が流れていた。
何があったのだろうと思ったのだが、人間も注意をしていかないと思った。
何かの拍子に風が吹き、追い風となり、落っこちる。
別のところに二匹のクモがいた。その巣には何もかかってはいなかった。