アリ
仕事を休んでしまった。
体から焦燥というものが膨れ上がってきていたので、落ち着かせるためにと庭の掃除をすることにした。
仕事着に着替えて外に出た。
母屋の少し先に古屋がある。
母屋を建てる前から、古屋は建っており趣があった。
壁はスレート、プラスティックの波板でできており屋根は全面スレートである。
至る所に補修が施されている。
壁から入れるように入り口が作られているので入って見渡した。
母屋のごみや使わなくなった物を次々と置いてあるため、至る所にものがあった。
歩けないほどであった。
祖父が使うトラクターの周辺だけが空いていた。
足の踏み場もないほどなので踏みつけながら歩いた。
散らかっていることが、前から気に食わなかったので罪滅ぼしにと整理しにきたのだ。
古屋は、地面の上に建てており隣にある竹林の影響で地面から竹が生えてきていた。
積み上がっている雑多な物を分別していった。
燃える物と燃えない物、資源物、汚れているので一度洗わないといけない物と体を動かしていった。
古い家電製品が入っていた段ボールを上げると地肌が現れた。
よく見るとアリの巣があった。
巣の中から無数のありが歩いていた。
一匹手に取り手のひらに置いた。
ちょこちょこと可愛く動き回っている。
彼らには捕まって怖いとかの感じはないのだなと思ってもみた。
手の甲から小指、また手のひらと動き回った。
そうか、働きアリとよく言うものでみんな働いているのか。
自分もアリのように働かなければいけないのだと
よく動き回って汗をかかないといけないのかと。
仕事をして稼がないといけない。
家族を養わないといけないのだ。
自分はそのために働いてアリのように動いていかないといけないのだ。
自分に仕事が務まるだろうか、できるか不安しかないのだ。
給料袋を持って帰って来れるだろうか。
心配であった。